
オリジナル封筒作成の流れ
まずは、オリジナル封筒作成の全体の流れを確認しましょう。おおまかには、次の4つの工程に分けられます。
形状・サイズ・仕様・素材等の決定
デザイン
印刷
納品
このなかから、今回はデザインに関することに的を絞って、オリジナル封筒作成に役立つ情報をお伝えします。
サイズだけじゃない!封筒の役立つ仕様や加工をチェック
封筒のデザインを始める前に、封筒の形状やサイズ、仕様、素材、加工内容を決定しましょう。内容物や送付目的、ブランドイメージ等に合うものを選ぶことが重要です。
封筒選びの参考に、様々な形状や加工内容等をご紹介します。
封筒の形状・サイズ
封筒の形状は、縦と横の長さの比率によって長形(なががた)、角形(かくがた)、洋形(ようがた)の3種類に分けられ、それぞれの形状に様々なサイズが存在します。
種類ごとに、市販の封筒のサイズと、定形郵便物に該当するかどうか、封入する内容物のサイズの目安をまとめました。
長形封筒
長形封筒は、A4サイズやB5サイズの書類を折りたたんで封入する際の定番。ふた部分を上部として見ると縦長の封筒です。
定形郵便物の規格に則したサイズが多く、長形3号は他の封筒と比べて圧倒的に多く利用されています。次いで4号も多くのシーンで使用されている人気のサイズです。
種類(略称) | サイズ縦×横(mm) | 定形/定形外 | 封入物のサイズ目安 |
---|---|---|---|
長形2号(長2) | 277×119 | 定形外 | B5判縦二つ折りA4判横三つ折り |
長形3号(長3)★大人気 | 235×120 | 定形 | A4判横三つ折り国際判便せん横三つ折り |
長形4号(長4)★人気 | 205×90 | 定形 | B5判横三つ折りB5判横四つ折り色紙判便せん横三つ折り |
長形5号(長5) | 185×90 | 定形 | A5判横三つ折りB5判横四つ折り |
長形6号(長6) | 220×110 | 定形 | A4判横三つ折り |
長形13号(長13) | 235×105 | 定形 | A4判横四つ折りB5判横三つ折り |
長形14号(長14) | 217×95 | 定形 | A4判横四つ折りB5判横三つ折り |
長形30号(長30) | 235×92 | 定形 | A4判横四つ折りB5横三つ折り |
長形40号(長40) | 225×90 | 定形 | A4判横四つ折り |
※封筒のサイズは、ふた部分を上部としたときの縦の辺×横の辺で示しています。以下同じです。
※封筒の許容サイズ誤差は±1~2mm。製造者によってこの程度のズレのずれが発生することがありますが、不良品ではないので心配無用です。
角形封筒
角形封筒は長形よりも幅が広めで、書類等を折らずに封入できるサイズが大多数。折りたためない物を送付するときや折り目がつくのを避けたいとき向けの封筒です。
A4サイズがそのまま収まる2号と20号は、特にビジネスシーンで頻繁に使われています。
種類(略称) | サイズ縦×横(mm) | 定形 / 定形外 | 封入物のサイズ目安 |
---|---|---|---|
角形0号(角0) | 382×287 | 定形外 | B4判(大きめ) |
角形1号(角1) | 382×270 | 定形外 | B4判 |
角形2号(角2)★人気 | 332×240 | 定形外 | A4判(大きめ) |
角形20号(角20)★人気 | 324×229 | 定形外 | A4判 |
角形A4号(角A4) | 312×228 | 定形外 | A4判 |
角形3号(角3) | 277×216 | 定形外 | B5判(大きめ) |
角形4号(角4) | 267×197 | 定形外 | B5判 |
角形8号(角8) | 197×119 | 定形 | B5判横三つ折り |
角形5号(角5) | 240×190 | 定形外 | A5判(大きめ) |
角形6号(角6) | 229×162 | 定形外 | A5判 |
角形7号(角7) | 205×142 | 定形外 | B6判B4判縦横四つ折り |
角形A3号(角A3) | 490×335 | 定形外 | A3判 |
角形B3号(角B3) | 525×375 | 定形外 | B3判 |
洋形封筒
洋形封筒は、ふた部分を上部とすると横に長い形がほとんどで、長辺に封入口があるのが基本です。
貼り合わせ方法によって「カマス貼り」と「ダイヤ貼り」の2種類に分けられますが、サイズ展開はほぼ共通しています。
カマス貼りは、用紙を縦に二つ折りにして左右両端を張り合わせて閉じた封筒です。中央に張り合わせがないため、裏面にも字を書いたりデザインをほどこしたりしやすいのが魅力。封入口が広く、内容物の出し入れが容易です。
ダイヤ貼りは、ふたが三角形になっているタイプ。四方向から折りたたみ、張り合わせ部分が斜めになっているのが特徴です。招待状や案内状の送付等のフォーマルな用途に最適なおしゃれな見た目です。
種類(略称) | サイズ縦×横(mm) | 定形 / 定形外 | 封入物のサイズ目安 |
---|---|---|---|
洋形0号(洋0)または洋形長3号(洋長3)★人気 | 120×235 | 定形 | A4判横四つ折りA4判横三つ折り |
洋形1号(洋1) | 120×176 | 定形 | A5判縦二つ折りA4判縦横四つ折りA6判 |
洋形2号(洋2) | 114×162 | 定形 | A4判縦横四つ折りはがき |
洋形3号(洋3) | 98×148 | 定形 | B5判縦横四つ折りはがき |
洋形4号(洋4) | 105×235 | 定形 | A4判横三つ折り |
洋形5号(洋5) | 95×217 | 定形 | A5判縦二つ折りB5判横三つ折り |
洋形6号(洋6)★人気 | 98×190 | 定形 | B5判横三つ折り |
洋形7号(洋7) | 92×165 | 定形 | A5判横三つ折り |
洋形特1号(洋特1) | 138×198 | 定形外 | B6判 |
洋形長4号(洋特4) | 90×205 | 定形 | B5判横四つ折り |
※洋形長3号と洋形3号はサイズが異なります。ご利用の際はご注意ください。
封筒の仕様
窓付きや裏地紋付きなど、用途に合わせて付けると便利な4つの仕様をご紹介します。
窓付き
請求書や納品書等の送付に利用されることが多いのが、窓付き封筒。
封筒に宛名を記入・印刷する必要がないのが大きなメリットで、それにより封筒と中身のミスマッチを防ぐことができます。
次のとおり、窓部分に使われる素材は主に2種類あります。
セロハン | 窓付き封筒の窓部分の素材として最も広く使われているのがセロハン。透明度が高く、宛名等の印刷内容をはっきりと識別できます。 強度が高いことと安価であることも特徴です。 |
グラシン紙 | パルプを原料に作られた、半透明の紙です。 受け取る側が封筒を処分する際、分別の必要がないのが利点で、環境に配慮している姿勢をアピールすることもできます。 |
のり付き
封筒のふた部分にのりが付いたタイプ。ここではのりのタイプ別に3種類を取り上げます。
テープ | 封筒のふた部分、または胴体部分のどちらかに両面テープやアクリル系の接着剤が付いているのがこのタイプ。 接着部分に剥離紙がついているのが特徴で、それをはがして軽く押さえるだけで接着できる手軽さが魅力です。 |
アドヘアのり | ふたと胴体の両方にゴム系の接着のりを塗布し、乾燥させたもの。ふたを折り曲げて軽く押さえれば接着します。 前出のテープ加工のように剥離紙をはがす手間がないため、より素早く封かん作業が行えることとごみが出ないことがメリットです。 |
水のり(アラビアのり) | ふた部分に水のり(アラビアのり)を塗布して乾燥させたもの。テープとアドヘアのりと異なり、切手のようにのり部分に水をつけて接着します。 水をつけたり高い湿度でない限りは接着しないため、長期保管に適しています。 |
透け防止
請求書や給与明細、個人情報、機密情報等を送付する際によく利用されている、内容物の透け防止に役立つ3つの手段を表にまとめました。
封かん作業をする人に余分な作業負担をかけることなく、文字の識別を困難にする高い効果が得られる方法ばかりです。
クラフト紙 | 不透過率約80% | 針葉樹を原料とするクラフト紙は、長い繊維が絡み合ってできています。そのおかげで特別な加工をせずとも丈夫で透けにくい特徴があります。 それでいて比較的コストを抑えられるのが魅力です。 |
裏地紋付き | 不透過率約90% | 封筒の内側に地紋と呼ばれる模様を印刷する仕様で、模様は数種類のなかから選択できる場合が多いです。 利用する企業や団体によってはオリジナルマークを印刷して、透け防止とともにさりげなく宣伝効果を持たせることもあります。 |
透けない加工が施された用紙 | 不透過率約99% | 印刷会社によって呼び名は様々ですが、不透明加工が施された用紙を用いて封筒を製造する方法です。 比較的新しい手法で、その不透過率は約99%。封筒の透け防止手段の中で最も高い効果があります。 |
抗菌
昨今大きな注目を集める抗菌封筒。封筒の紙本体に抗菌・抗ウイルス剤を配合していて、封筒の外側にも内側にも抗菌作用を発揮します。
受け取る側に衛生面の配慮が伝わり、安心感を与えることができる点が選ばれる理由のひとつ。
医療機関や教育機関、食品関連機関、宿泊施設等への送付に採用されることが多いです。
封筒の素材
一般的によく使われる封筒を紙の種類別にまとめました。ここで紹介する3種類それぞれに、ツルツルからザラザラまで様々な質感の封筒があります。
クラフト紙(茶封筒)
業務用として広く使われている、いわゆる茶封筒です。
クラフト紙は製造の際、原料である木材を漂白しません。そのおかげで比較的安価なうえ、漂白処理において避けられない繊維の劣化がなく、強度に優れた紙素材に仕上がります。
ナチュラルで素朴な風合いも人気の理由のひとつです。
ケント紙(白い封筒)
化学パルプを原料とするケント紙から作られている、滑らかな手触りの白い封筒。クラフト紙と違い、漂白加工がほどこされています。
青みがかった白色で高級感や上品さ、清潔感が感じられ、先にご紹介した茶封筒よりも改まったシーンで使われる傾向にあります。
インクが滲みにくく、鉛筆でも書き込みができることから、手書きにも印刷にも適している封筒であると言えます。
色上質紙(カラー封筒)
化学パルプ100%で作られた紙素材「上質紙」に色をつけたものです。カラーバリエーションが豊富で、利用シーンや企業イメージに合わせた色の封筒を選ぶことができます。
紙表面がコーティングされていないため鉛筆で書き込むこともでき、光沢や艶があまりありません。
インクの吸収が良く筆記性が高いのも特徴で、ノートやメモ帳の素材にもよく選ばれている素材です。
封筒の加工内容
箔押し
金箔や銀箔をはじめとする様々な色の箔を紙に圧着、転写させる加工です。
通常の印刷では表現できないメタリックな質感(金属のような光沢)が出て、華やかさや煌びやかさのある目立つ封筒に仕上げることができます。
インパクトがあり目を引くので、DMの開封率を上げたり企業のオリジナリティを出したりしたい時に効果的です。
活版印刷(空押し)
活版印刷は、箔やインクを使わずに、金属の版で紙に加圧・加熱をして凹凸を付ける加工です。
かつては日本の印刷業界で主流だった昔ながらの活版印刷を用いた加工で、手作りされたような温かみがある仕上がりになるのがポイントです。
高額の契約書や結婚式の招待状の送付など、高級感や特別感を演出したいシーンでよく使われています。
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